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良い法律家とは?

法律は、社会の変化に従い改正されるものです。したがって、一昔前に修得した法律知識が、もはや役に立たないことはしばしばです。

最新の法改正に対応し、情報のアップデートを適時に行えることは、法律家にとって不可欠の素養です。

残念ながら、不正確な法律知識しかもたず、法律に書かれた文言の意味を十分に理解していないために、抽象的なことしか説明できない法律家がいます。なぜかというと、教科書や参考書の記載を暗記して、それをそっくりそのまま引用したり、あるいは同業者のブログで紹介されていた内容を劣化コピーしていることが多いからです。

一方で、正確な法律知識をもち、その意味をしっかりと理解している法律家は、適切な具体例を挙げたり、わかりやすい比喩を用いたりすることができます。そのような法律家は、ムズカシイ単語は使いません。仮に使ったとしても、その単語の意味を平易な言葉できちんと説明することができます。

もしあなたが法律家と接点をもった際、難しくてわからないことがあったら、是非わかるまで聞いてみて下さい。専門的なコトバを並べられ、チンプンカンプンなはずなのに、「ムズカシイことを知っているスゴイ人だ」という誤解や歪曲した先入観をもつことだけは避けましょう。

あなたにわかる言葉、具体例、比喩などを駆使し、あなたの「わからない」を解消してもらいましょう。

あなたの「わからない」を解消してくれる法律家は、あなたにとって、最良のパートナーになるはずです。

法律は想像以上に繊細です

世の中に「法律」と呼ばれているものは、数千種類にも及びます。法律家も人間です。その全ての法律について詳細まで熟知しているわけではありません。法律家に寄せられる相談の中には、法律家が見聞きしたことのない法律が関係するケースが存在するのも事実です。

このような場合、法律家はどうすると思いますか?

対応の仕方は、2種類に分かれます。

1つは、知らない法律が関係するとわかれば調べるという対応です。

もう1つは、自分の知識を頼りに回答するという対応です。

一見後者は、知識が豊富で、安心感を与えてくれるかもしれません。しかし、後者は危険な対応です。不正確な知識である可能性を払拭できないからです。

一方で、前者の対応をする法律家は信頼できます。

わからないことがあって当然だからです。むしろ、自分の知識で回答できる場合であったとしても、いちいち条文にあたって、間違いがないかを確認し、慎重に話を進めるでしょう。

あなたが想像している以上に、法律に書かれている文言は繊細です。「場合」と「とき」、「又は」「もしくは」「及び」「並びに」などは全て使われ方にルールがありますし、「、(読点)」の位置などでも意味を分ける場合があるくらいです。

法律の世界では、文言の意味のとり違いは致命的です。

例えば、ある要件を満たしていれば、あなたの望む結果(効果)が得られるケースがあるとしましょう。このとき、「ある要件」について、法律に書かれている文言がかなり抽象的で、解釈の余地があるとします。もし、法律家が自分の知識に依存して、身勝手な解釈により、「ある要件」をクリアしていると安易に判断してしまったらどうなってしまうでしょうか?

あなたの望む結果(効果)が得られるか得られないかを左右してしまうのです。安易に、「大丈夫です」などと即断する軽卒な法律家は信頼に値しません。

法律は、あなあたが想像している以上に繊細であることを、あらかじめ知っておいて欲しいと思います。

そもそも、リーガルマインドってなに?

リーガルマインドとは、「法的思考」と訳されます。

もう少し噛み砕いた表現をすると、「ものごとを法律というフィルターを通して見てみましょう」ということです。法律家の仕事は、実は、この作業の繰り返しに過ぎません。

ただ、実際には、どういうことを言っているのかがわからないと思いますので、具体的な例を挙げて説明したいと思います。
(以下は、興味のある方だけ読んでいただければ結構です。)

法律家の頭の中をのぞいてみよう

まずは、簡単な事例を設定してみましょう。

あなたは、青信号の横断歩道を横断中、突然赤信号を無視した自動車に追突され、右腕を骨折し全治2か月の入院を余儀なくされました。そこで、法律家を訪ね、自動車運転手に損害賠償を要求するにはどうすればよいのかを相談しました。

相談を受けた法律家の思考をたどりながら、リーガルマインド(法的思考)がどのようなものかを紹介したいと思います。

1 あなたの要求が何かを知る

まずは、あなた(被害者)が、自動車の運転手(加害者)に何を言いたいかを確認します。

あなたは、骨折という怪我をして入院することになってしまったので、その入院費や治療費を請求したいでしょう。また、この事故で精神的な苦痛を抱えることになったので、慰謝料も請求したいでしょう。さらに、あなたが仕事をしていれば、入院中その仕事をすることができず、休まなくてはなりません。

そうすると、その間は、本当はもらえたはずの給料や報酬などの収入がもらえなくなってしまいますので、その分を補償してほしいでしょう(これを「休業損害」といいます)。加えて、このような怪我をさせられたのに、加害者から何の謝罪もなければ、「謝って欲しい」とも思うでしょう。

法律家は、あなたとの会話の中から、加害者に言いたいこと(これを「ナマの主張」といいます)を汲み取ります。これらを整理すると、以下のようなになります。

⑴ 入院費
⑵ 治療費
⑶ 慰謝料
⑷ 休業損害
⑸ 謝罪

2 あなたの要求を基礎付ける法律を考える

次に、あなたの要求をどうすれば叶えることができるのか、つまり、どんな法律(条文等)に基づいて、どのように主張すればあなたの要求が認められるのかを考えます。

上に挙げた「ナマの主張」に法律というフィルターをかけ、法的に請求できるレベルまで引き上げる作業をします。

あなたが言いたいことは、入院費、治療費、慰謝料、休業損害という「金を払って欲しい」という主張と、謝罪、つまり「謝って欲しい」という主張に分類することができます。

そこで、考えられる法律としては、民法の709条が挙げられます。民法709条には、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と書かれていますので、この条文を使ってあなたの主張を請求できるように組み立てていくことになります。

3 条文に書かれた要件にあてはまるかを考える

条文の基本的な構造は、「〜ならば、〜できる。」となっていることが多いです。この場合、「〜ならば」という部分を「要件」といい、「〜できる」という部分を「効果」といいます。つまり、ある「要件」をクリアしていれば、ある「効果」が発生します、ということを規定しているのです。

これを民法の709条について見てみると、「要件」は、以下のように整理されます。

⑴ 「故意又は過失」があること
⑵ 「他人の権利又は法律上保護される利益」を「侵害」すること
⑶ その行為により「損害」が生じたこと
⑷ その行為と発生した損害との間に因果関係があること(「これによって」)

また、「効果」は、

「損害」を「賠償する責任を負う」こと

ということになります。

おわかりのように、民法の709条には、「交通事故に遭った者は、入院費、治療費、慰謝料、休業損害、謝罪を請求することができる。」などとは書かれていません。ですので、ここで「法を解釈すること」が必要となります。つまり、上で挙げた「要件」を1つずつ「解釈」していき、今回の事例がこれらの「要件」をクリアするかを検討するのです。

この「解釈」で必要となるのが、法律家がこれまで蓄えてきた「知識」です。

そして「知識」だけに頼ることは不正確である可能性がありますので、実際に判例は、その「要件」をどのように解釈してきたのか、学者たちはどのように解釈すべきだと主張しているのかを調べることになります。

具体的に見てみましょう。

⑴ 「故意又は過失」があること

「故意」とは「わざと」、「過失」とは「うっかり不注意で」という意味に解釈されます。

今回の事例のように交通事故であれば、運転手は、赤信号をうっかり不注意で見落としていたという「過失」があると考えることができそうです。

したがって、「故意又は過失」という要件はクリアしていると考えられます。

⑵ 「他人の権利又は法律上保護される利益」を「侵害」すること

あなたには、「身体の安全」という権利が保障されていると解釈されます。

加害者の追突という行為によって、全治2か月の怪我を負ったことは、あなたの「権利」を「侵害」されたといえるでしょう。

したがって、「他人の権利又は法律上保護される利益」を「侵害」という要件もクリアしていると考えられます。

⑶ その行為により「損害」が生じたこと

「損害」とは、「財産的損害」つまり、経済的な不利益が生じてそれをお金で見積もることができる損害と、「精神的損害」つまり、肉体的または精神的な苦痛を被ったということを損害としてみるものと解釈されます。

今回の事例のように、入院費、治療費、休業損害は「財産的損害」に、慰謝料は「精神的損害」にそれぞれあてはまりそうです。

一方で、謝罪は、財産的損害、精神的損害のいずれにもあてはまりませんので、残念ながら法律を使って運転手に謝らせることはできません。謝罪は、法律ではなく、道徳的な問題として整理されることになります。

⑷ その行為と発生した損害との間に因果関係があること(「これによって」)

「因果関係」については、加害者の行為とあなたに生じた損害との間に相当因果関係があることと解釈されます。

この「相当因果関係」とは、「ある加害行為があれば、通常はその損害が発生するのが普通だよね」ということを意味しています。

今回の事例のように、自動車に追突されれば、通常は腕を骨折してしまうと考えるのが普通ですから、この要件はクリアしていると考えられます。

ちなみに、入院期間中に風邪をひいたために内科にかかった治療費というのは、通常発生するとはいえませんので、相当因果関係という要件はクリアされません。

4 条文に書かれた「効果」が発生することになる

上述のように、民法の709条の「要件」を全てクリアすることができました。

そうすると、ある「効果」が発生します。

今回の事例の場合は、加害者が「損害を賠償する責任を負う」こと、つまり、あなたに損害賠償請求権が発生するということです。

これによって、あなたの「ナマの主張」は、法的に請求できるレベルにまで引き上げられたことになります。

法律家は、この段階まで検討して初めて「あなたは、自動車の運転手に損害賠償を請求できるでしょう」と回答することになります。

法律家の仕事は実はとっても地味なのです

このように見てみると、法律家の仕事がいかに地味な思考のくり返しであるかを感じていただけるのではないでしょうか。

この思考のくり返しこそが、リーガルマインドをもってあなたと接するということなのです。

私たちは、正確な法律知識とリーガルマインドをもって、あなたの悩みの解消に尽力します。